ここ一週間、午前中は青空が広がり、日が出て暖かい。午後を過ぎると曇り空に変わって風も出てきて寒くなってきた。「寒いー」と、言いながら畑の作業を続ける。今、重点を置いている作業は溝堀りの作業。私たちの借りている畑は四方から水が流れ込む窪地で排水作業に苦労した場所だ。三年目の畑作業に入り、排水作業が少しずつ進んだのが今年の成果。
来年は作物を育てられる場所を増やすことと畑の中にまだ残っている水を出し切ることを計算して、畑の大改修を行っている。泥水を掘り返すと、うちの畑にはザリガニがいる。
「それは田んぼや」
と、言い返されそうな場所で畑作業を行っている。栽培方法に拘りがあり、小難しそうと周りからは思われていると思う。元々、畑をやりたいわけではなく、成り行きで畑作業が始まり、未経験ど素人なりにどういう野菜を食べたいかを考えた。肥料を入れたり、農薬を入れたりしないと野菜が育たないと素人ながら考えたが、農薬はもとより肥料も入れずに、大地や自然が持っている力だけで自分たちの体の一部になる野菜を作りたいと決めた。(農薬も肥料も野菜にとっても人間の体にとっても良くないと考えたから)
農薬、肥料を使わないで、草や虫の力を借りて野菜を育てることを自然農という。(ここでの説明はこれだけにしておく)
自然農で畑活動を始めて三年が経ち、ようやく作物の育て方、というより食べ物との向き合い方がわかるようになってきた。野菜の紹介の前に不思議な体験を一つ紹介させてほしい。
畑で麦を蒔いて一週間経ったあと、芽が10センチほど伸びてきた時のこと。何気なく、麦の芽の方に両手をかざしてみた。(麦を蒔いた広さは6メートル四方)そこから、ビリビリと何かが出ていて両手の手のひらに入って来るのを感じた。静電気よりももっとじんわり、ぐーっと押し込まれて長続きする力。「何や、これは」と思って、麦以外の場所や畑の外に両手をかざしてみると今感じていたエネルギーを感じることはできなかった。また麦の方に向き直して両手をかざしてみるとやっぱり何かを感じる。麦から自分の両手に入ってくる力と自分の両手から麦に向かう力が行き来している。エネルギーとかスピリチュアルを信じない自分が目に見えてない力を感じて驚いた出来事が先月にあった。力の正体が何かはわからないが、自分は麦から出ているエネルギーだと受け止めることにした。目に見えないものを大事にして食べ物を作っていこうと思わせてくれた出来事だった。
ここから野菜の紹介が始まります。
今、皆さんに食べて頂いている野菜は無施肥(農薬、肥料なし)で作られたものです。土そのものの味、食べ物が土や土の中にいる微生物、菌から栄養を吸収し、結実した食べ物です。味が強くて甘みがあるものもあれば、辛いものもあります。隣同士で育っていても味が全く違います。なので、お渡ししていながら求められている味の保証はありません。自分は素人ですが、ここの食べ物は美味しくて大好きです。
隣同士で育っても土の中の環境が違うということだと受け取っています。一つの畝(野菜を育てる一区画)でも不思議なことに育つ場所と育たない場所がはっきり分かれています。種を蒔いても芽が出ないから、撒き直そう。いっぱい育つと自給率が上がると効率的なことを考えて、作物をたくさん育てようとしますが、育たない場所では一向に育ちません。土の環境と蒔いた種の相性が合っていないと考えられるようになったのは、今年一年がむしゃらに畑作業に出た一つの成果でした。
今年はほんの少し野菜を作ることができました。今採れたものは、大根、二十日大根、かぶ、ほうれん草、のらぼう菜、小松菜、白菜、里芋、ハバネロです。
それぞれの味の紹介
大根 一番簡単に育って大きさも手ごろな大きさになり満足。味もおいしいかと思いきや辛い。今まで畑にしていなかった場所(初めての場所)で作り、土が十分にはできていなかったと判断。大根はストレスを感じると辛味がでるらしい。その辛味も今は美味しい。
二十日大根 大根と違い、こちらは甘い。二十日でできるから二十日大根。簡単に作れるようで、種を蒔いただけで確かに簡単だった。一気に収穫すると後で食べるものが無くなるからと植わっているままで置いておくと酢が入ってきた(割れ)
かぶ 二十日大根と同じで甘い。作業中につまみ食いを良くした。二十日大根ほど量は採れず。
ほうれん草 寒くなってから芽が出ることを知った。種まきは一番遅い時期で構わない。スーパーで売っているような大きさや葉の多さまでには至らず、ベイビースピナッチになった。でも甘くてうまい。
のらぼう菜 食べ時期が分からない茗花。今はすべて赤くなり確実に食べ時期を逃した状態。それでも食べてみて味や食べごろの時期がいつだったかを感じてほしい 茎の部分はまだ食べられる。
小松菜 虫食いの代表作。我が家では気にせず食べる。味は美味しい。
白菜 こちらはすべて虫に食べられる。人間が食べられるところはほぼない。人間用は来年か。
里芋 こちらだけ有機肥料が入ったもの。おかげで大きい。味もおいしいはず。根のついている大きいものは頭で細かくして食べる必要あり。
ハバネロ 苗を植えて大量になるが、一つ激辛で食べきれず。メキシコ料理、インドネシア料理に最適。冬に辛いものがなる不思議。
この秋はとても暑く、雨が降りませんでした。秋に種を蒔いても寒くならずに虫の活動期間が長く、ほとんどの野菜に虫食いがあります。それもたくさん。虫食いの野菜を見て、気持ち悪いと思わせたり、形が悪いと思わせたかもしれませんが、虫に食べられながらも人間が食べられる形になるまで育ってくれた野菜です。虫に食われすぎている箇所や黄色く傷んだ葉は食べられませんが、その茎の部分など食べられる部分を味わってほしいです。
きっと美味しいと思うので。
私は、ほんの少しの食べられる部分を食べるだけで幸せを感じるようになりました。自分が育てていることが前提なのでしょうが、土の状態を感じたり、その土地のことを考えることに繋がることを幸せに感じています。体に安心な物を食べたい、食費や環境のことを考えたいと思うと、少しでも自分で食べ物を作ることになるかと思います。これを読んだあなたもいつか食べ物を作っていると思います。
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